遺産分割のやり方は?
遺産分割が必要なわけ
 相続では,まず遺言書の内容が優先して,遺言書がないときには,法律で定める法定相続分で相続することになります(法定相続分の具体的内容は「どれくらい貰える?」の項目をご参照)。
 そして、財産は相続により,共同相続人の共同所有となります。
 そして,遺産が,現金、銀行預金、などすぐに分割可能なものであれば,相続人の相続分に応じて分割することができます。

 しかし,遺産が,土地や建物などのモノの場合には,現金や預金のようにすぐに正確に分けることはできません。

 しかし,共有のまま放っておくと,将来の財産の管理・利用・処分に差し支えが生じます。
 そこで具体的にこれらのモノをどう分けるかを決めるのが「遺産分割」なのです。この共有状態を解消して、各相続財産ごとにその取得者を決めるのが遺産分割なのです。

 そして,誰がどの財産を具体的に貰うのかを,相続人全員が集まって協議をするのが「遺産分割協議」なのです。
遺産分割の方法は?
 遺産分割には3つの方法があります。

■現物分割 どこの土地が誰,どこの建物は誰というように,具体的にモノで分けることを現物分割と言います。ただ,相続分どおりにきちっと分けられることは難しく,どうしてもモノの価値に差額が生じてしまいます。この場合には,差額を代償金で支払って調整するしかありません。
■換価分割 財産を売却して,お金で分ける方法です。お金に換えれば,きちんと相続分に応じて分けられるため,公平と言えます。財産をそのまま持っていて維持する必要がない場合には良い分け方です。
■代償分割 財産をモノで取得する人が,他の相続人に,その相続分に応じた金額を代償として支払うものです。
 もっとも,財産の価値について,相続人間に共通の合意がないと,幾らを支払えば良いかについて争いになるかもしれません。

 なお,実際には,上記の3つの分け方をミックスして,全員が納得いく分け方をすることになります。
遺産分割の手続きは?
 遺産分割については,まず,遺産分割の協議を行いますが,協議がまとまらなければ,家庭裁判所で,遺産分割調停をすることになります。
 それでもまとまらない場合には,家庭裁判所が「審判」という形で,遺産を分けることになります。
欲しい財産が必ず貰える?
 このように遺産分割は話し合いベースで,最終的には裁判所が決定をします。ですから,自分が欲しいと思っている財産でも必ず貰えるとは限りません。
 しかし,以下のような場合には,その相続人が遺産を貰うのが合理的であるので,家庭裁判所もそのように「審判」をしてくれるのが通常です。

@相続した建物に,相続人が現に居住している。
A相続した土地の上に相続人が所有している建物がある。

 もっとも,その財産を取得すると,自分の法定相続分を超えてしまう場合には,代償金を支払う必要があります。  代償金が支払えないとすると,残念ながら,その財産を取得することができず,全員の共有との「審判」がされることもありえます。

 その場合には,別途,共有物分割手続きをすることになります。