相続の放棄とは?
相続放棄の意味
 相続が開始されると必ず財産が引き継がれるとは限りません。
 相続人は,財産を引き継ぐかどうかを選択することができます。

 そして,相続放棄とは被相続人の遺産を一切承継しないようにすることです。逆に,相続することを法律的には,相続の承認と言います。承認には2つの種類があり,まとめると以下のとおりとなります。

相続の承認 単純承認  被相続人が残した財産を,借金等のマイナスの財産も含めて全て相続します。なお、単純承認の場合は,特別な手続きは必要がなく,何も手続きしないと単純承認したことになります。
限定承認  プラスとマイナスの遺産を見て,プラスが上回った場合はその上回った分だけ相続するものです。プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか判断できない場合に利用されます。
相続の放棄 相続財産について,プラスマイナスを問わずに,一切承継しないものです。

相続放棄が必要な場合
プラスの財産よりマイナスの財産が明らかに多い場合
 
 相続人だからと言って,故人の借金を全部引き継がなければいけないわけではありません。明らかに借金が多い場合には,迷わず,相続放棄をするべきです。

プラス財産があるが,相続の争いに巻き込まれたくないとき

 プラスの財産があるが,相続の争いに巻き込まれたくないような場合で,遺産の取得を希望しないときにも,相続の放棄をすれば良いことになります。
 放棄をすることで相続人ではなくなりますので,調停に呼び出されたり等の面倒なことを避けることができます。

相続放棄の手続き
 相続の放棄は,他の相続人に対して放棄の意思を示すだけではだめで,必ず家庭裁判所に「相続放棄の申述」をして,受理して貰わなければなりません。手続きは,郵送でも可能です。

 相続の申述をすると,一週間ほどすると家庭裁判所から照会書(質問書)が送られてきます。これに回答して返信をしてから,10日ほどすると,家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。

 上記通知書が送られてくると,手続きは完了です。